Form W-8BEN(非在住者申告)って?
- Henly Shiohama
- 2020年11月12日
- 読了時間: 3分
更新日:2023年8月17日

今回は税金の話です。日本在住の方が海外に渡り、海外で資産運用して利益を上げると原則、日本でも海外でも税金の申告が必要になります。原則と言ったのは、ここは各国の事情や、日本との租税条約締結の有無など、色んなパターンが想定されるので原則とさせて頂きました。
しかるにアメリカの場合も同様にアメリカで銀行口座を持って利息を受け取れば収入とみなされ税金の申告が必要になります。証券口座における配当金やキャピタルゲイン、不動産投資による賃貸収入や売却益、アメリカ国内の事業で生まれた利益(米国のアフィリエイトサービスからの収益金)も例外ではありません。
勿論、免除規定があり収益の種類、金額などにより税金の支払いが免除されるケースもありますが、ご存知の通りGAFAのようなグローバル企業が場所を問わず収益を上げる時代となり、米国の税務当局(IRS)もアメリカ外で発生する利益についての捕捉を強化していますので、アメリカで収益が生まれている方はまず税金申告することを大前提にして下さい。
日本在住者にとっての最大の武器(W-8BEN)とは
数ある税金の免除規定の中で、日本在住者が是非使うべき最大の武器はW-8BENになります。海外で銀行口座などを開設すると、銀行からこのフォームが郵送されてきます。是非、無視せずに記入して送り返して下さい。
W-8BEN: Certificate of Foreign Status of Beneficial Owner for United Tax Withholding and Reporting
というのもこのW-8BENと言われる書類の目的は、自らがアメリカ在住者では無い事を示し、税法上の非居住者として別の国で税金を納めることを連絡するものです。日本とアメリカの間には日米租税条約が締結されていますので「2重に税金を課されること」を防ぐことができます。
実際に米国銀行口座に生じる金利利息については、一般的には源泉分離課税(米国在住者10%、非在住者30%)が課され、銀行が当該利息分を徴取し納税します。しかるにW-8BENを銀行に提出すると、銀行は当該口座保有人が非在住者であると認識して30%の源泉徴収がされない仕組みなっているのです。
源泉徴収されないことと確定申告の関係
注意して頂きたいのは「源泉徴収されない」=「アメリカで確定申告不要」ということでは、ありませんので念のため。
例えば、アメリカで証券口座を開設してW-8BENを出せばその口座から生じるキャピタルゲインや配当収入に対して非在住者の30%の課税が免除されることになります。当該キャピタルゲインや配当収入については日本の税法に従って通常は雑所得として申告し、日本で税金を支払うことになります。
また、30%の課税が免除される代わりに、米国在住者と同様10%の源泉徴収が行われることもありますので、その際は証券会社よりForm 1042S(外国勢控除証明)をもらって、日本で申告すれば日本で外国税控除が得られます。
ここでお気づきの通り、アメリカ源泉の所得に対して源泉徴収されない場合、原則としてアメリカで確定申告をして税金を納付する必要があります。税金の申告の仕方については別のコラム「ITINの取得」で少し触れましたので参考にして下さい。
グアムの魅力
改めて言ううまでも有りませんが、源泉徴収やら確定申告やら少しめんどくさそうですよね。という事は実は、米国の金融機関にとっても非在住者のお客様は少し面倒なお客様なのです。そのため、一般の金融機関、クレジットカード会社は海外駐在員に対して本国帰任の際に、全てきれいに解約するように薦めてきます。
以前は米国本土の日系系列の銀行でも口座を残していくことをあまり嫌がりませんでしたが、最近はしつこく解約を迫られます。口座管理手数料を設定したり、口座残高の変動を必要とされたり、毎月の入金が条件設定されたり、早く解約してくれと言わんばかりです。
その点ここグアムは未だ昭和の良き時代が残るアメリカテリトリーで、これも別のコラムで触れた通り「簡単に海外の銀行口座を開設」できる魅力的な環境が残っているのです。





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